今回は、時折問題になる強制認知について触れてみます。
強制認知とは、未婚の父親が、自発的に自らの子を認知しない場合に、母親又はその子が、家庭裁判所での手続きを通じて、父親に認知を強制させる手続きです。
婚姻関係にない父母の間に生まれた子については、父親が自ら認知しない限り、法律上の父子関係は成立しません。
強制認知は、父親が自ら認知をしない場合に、文字通り認知強制する法的手段です。
では、具体的な手続きについて見てみましょう。
強制認知をするために
強制認知をするためには、家庭裁判所に認知調停の申立てを行う必要があります。
申立人は、母または子(子が未成年の場合は法定代理人である母が子を代理)であり、家庭裁判所に対して、認知調停を申し立てます。
民法上は、認知の訴えとあり、訴訟提起すべきようにも読めますが、先ずは調停申立が先行します(調停前置主義)。
証拠の提出
認知を求める側(通常は母親)が、父親と子供の間に血縁関係があることを証明するために証拠を提出します。一般的には、DNA鑑定が最も有力な証拠となります。その他、妊娠・出産の経緯、過去の関係なども証拠として考慮される場合があります。
裁判所の審理
裁判所は証拠に基づき、父親が子供を認知すべきかどうかを判断します。父親が認知を拒否しても、証拠が充分であれば、裁判所は強制的に認知を命じる判決を下します。
認知の確定
裁判所が認知を命じた場合、判決に基づいて認知が確定します。これにより、父親と子供の法律上の親子関係が成立します。
強制認知のメリット
法律上の親子関係が成立
認知が成立すると、父親と子供の間に正式な法律上の親子関係が成立します。これにより、父親の扶養義務や子供の相続権など、法的な権利や義務が明確になります。
相続権の確立
認知が成立すれば、子供は父親の相続人となり、将来的に父親が亡くなった際に財産を相続する権利を得ます。
養育費請求の権利
認知が確定すれば、子供の母親は父親に対して養育費を請求することができ、子供の生活を支えるための経済的支援を得ることが可能になります。
子供の心理的安定
子供にとって、自分の父親が法的に認められることは、アイデンティティの確立や心理的な安定に繋がることがあります。
強制認知のデメリット
手続きの負担
強制認知の手続きは時間と費用がかかります。裁判手続きやDNA鑑定など、複雑な手続きが必要となるため、精神的にも経済的にも負担が大きくなる可能性があります。
父親との対立
父親が認知に協力しない場合、裁判を通じて対立が深まることがあります。これが子供や母親にとって、感情的なストレスになることもあります。
関係悪化のリスク
強制認知によって、父親との関係が悪化し、父親が養育費や子供への接触を避けるようになるケースもあります。
父親の生活に影響
認知が強制されることで、父親側にも扶養義務や相続権の発生といった法的負担が生じます。これが原因で父親が経済的・精神的に圧迫されることも考えられます。
まとめ
強制認知は、子供の法的権利を確立するための重要な手続きですが、母親や子供、父親にとっては様々な負担が伴うものです。特に、手続きや証拠の準備が必要で、感情的にも複雑な状況になることがあります。一方で、相続権や養育費の確保といったメリットも大きいため、各家庭の事情に応じて慎重に判断することが重要です。
手続きの方法がわからない、何から始めたらいいかわからないなどでお悩みの方は、東大阪市・はなぞの綜合法律事務所へご相談ください。
当事務所では「弁護士による初回無料相談」も実施しております。まずは法律相談のご予約をお待ちしております。