
令和7年6月28日に改正風営法が施行されました。
今回は、改正のメインである、「色恋営業」について、少し触れてみます。
色恋営業とは
まず、色恋営業とは、主にホストクラブやキャバクラ、風俗店などで従業員が顧客に対して恋愛感情を利用して営業をかける手法と定義されます。
具体的には
- 「付き合おう」「好きだよ」と言ってホストクラブやキャバクラに通わせる
- 恋愛感情があることを仄めかし高額なプレゼントや指名を促す
- 私的に連絡を取り合って顧客を囲い込む
などが挙げられます。
色恋営業の問題点
色恋営業については、以下のような問題点があるとされています。
❶ 本当は恋愛感情がないのにあるように装うため、顧客を欺く行為とされ、詐欺的要素がある
❷ 恋愛感情に訴えることで、高額な支払いをさせるなど、過剰請求の誘導につながる
❸ 店舗外での金銭トラブルやストーカー被害に発展するなど、業務外トラブルに発展する可能性がある
❹ 消費者契約法・風営法に違反するという可能性がある
お金の返還請求は可能か
上記問題に加え、特に弁護士事務所に対する相談として多くいただくのが、ホストクラブに対し色恋営業によって支払ったお金を返してもらいたいという相談です。
この点について、改正風営法を根拠にお金の返還請求をすることはできない点に注意が必要です。
風営法は、風俗営業や接待飲食店などの営業について、社会秩序や善良な風俗を守るために規制する法律であるため、お金の返還を予定しておりません。
風営法はホストクラブを取り締まる根拠法となっているのです。そもそも、風営法が上手く機能し、色恋営業がなされなくなれば、お金を返して欲しいという相談も減るのですが。(ただし、風営法違反があれば、以下述べる民事上の請求での補強材料とはなります。)
そして、実際に、色恋営業がされたことによって支払ってしまったお金の返金の請求する場合、根拠法は「消費者契約法」となります。
消費者契約法とは、消費者と事業者との間の契約において、不当な契約や不当勧誘から消費者を保護する法律です。
特に「誤認」や「困惑」によって締結された契約は取り消すことが可能です。
例えば、本当は恋愛感情がないのに「好き」「付き合おう」といった発言をし、信じさせて商品(指名・プレゼント・来店)を購入させた場合、重要事項の不実告知に該当する可能性があり(消費者契約法第4条1項1号)取り消しの余地があります。
また、顧客が恋愛感情で精神的に追い詰められ、断れずに契約した場合、「困惑による契約」(同3項)として取り消せる余地があります。
取り消しできる期間は、消費者がこのような状況を知ってから1年以内、または契約から5年以内となりますので、ご注意ください。
取り消した場合、ホストクラブ等が受け取ったお金は、不当利得となり、返金の対象となります。
あるいは、事案によっては、詐欺的行為が不法行為(民法第709条)を構成するとして、民法上の請求も可能なケースもあります。
いずれの法律構成を採るかは、弁護士にご相談のうえ、決められるのが良いです。
請求に必要な証拠
以上を前提に、弁護士が事件を見る際に、最も気にする点は、色恋営業の証拠の有無です。ホストクラブ等も、巧妙な手口を用いることが多く、キャストから客に対し、メッセージのやり取りを削除させるように指示させたりする事案が散見されます。
このような場合、証拠が不十分となり、そもそも色恋営業があったのかどうかが分からず、返金請求が認められないという結論に至りかねません。
そのため、今、キャストからメッセージを削除するように求められている等のご事情があれば、削除前に何らかの方法でバックアップを取っておくことをお勧めします。
その他には、お金を支払った証拠(レシート、銀行振込記録、スクショなど)、頻繁に店外で会っていた証拠(写真、通話履歴など)などが有意の証拠となります。
まとめ

ご相談を受けても、証拠が足りず、お力になれないということも多く、このような事実をご周知いただくため、今回の記事を執筆いたしました。
皆様の一助になれば幸いです。
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